気持ちを消さなくていい。ただ、相談に持っていくときは、少しだけ別の言葉に置き直せる。
雇用率のニュースが、プレッシャーに聞こえる日がある
民間企業の法定雇用率が段階的に上がる。求人が増えるかもしれない。支援策もある。ニュースとして読むと、前向きな話に見える。
でも、A型やB型に通っている側では、それがそのまま安心に変わるとは限りません。『じゃあ次に行けるよね』と急かされているように聞こえる日もある。働きたい気持ちと、通勤、体調、トイレ、会議、昼食、欠勤後の戻り方への不安が同時に来ることがあります。
その気持ちは、制度への反対ではなく、自分の生活に引き寄せて考えたときの怖さです。親エッセイとして、障害者雇用率が上がっても、働く怖さが消えるわけではないに分けて書きました。
通所できていることと、余裕があることは同じではない
通所できていると、大丈夫そうに見える。けれど、移動、支度、人の密度、帰宅後の反動まで含めると、通所そのものがかなり大きな作業になっている日があります。
『来られているから平気』ではなく、『来るために何を削っているか』まで見てもらいたい。そう思うことは、弱さの証明ではないと思います。
相談にするなら、『通所後の疲労や翌日の反動も含めて、作業量や休憩の取り方を相談したい』くらいに小さくできます。
在宅配慮へのモヤモヤを、誰かを責めずに分ける
在宅利用者を責めたいわけではない。でも、在宅側にPC作業が多く、通所側に現場作業が寄っているように見えると、通うほど損をしている気持ちになることがあります。
その気持ちは、誰かの配慮を否定する言葉にしない方がいい。分けるなら、在宅か通所かではなく、希望作業、訓練目標、作業配分の説明、通所する意味の見え方です。
就労アトラスでは、ハイブリッド勤務と障害者雇用の整理や在宅・通所と配慮の研究ガイドが近い入口になります。
作業配分への違和感は、相談してよいテーマかもしれない
作業配分のモヤモヤは、言い方を間違えると『あの人だけずるい』に近づいてしまう。そうなると、自分でも嫌な気持ちになるし、相手にも届きにくい。
でも、『希望している作業と、実際の作業がどうつながっているのかを確認したい』なら、相談のテーマとして扱いやすくなります。
PC作業をしたい気持ちも、楽をしたいだけとは限りません。今後の仕事につながるスキルに触れたい、訓練目標に近づきたい、という言葉に置き直せることがあります。
研究・制度で読みたいときの入口
このサイトで書いているのは、本人目線の違和感です。制度や研究の整理へ進むなら、就労アトラス側で読む方が役割が合っています。
次の表は、ここで出てきたモヤモヤを、相談用の言葉と研究記事への入口に分けたものです。答えではなく、見学前や相談前に言葉を整えるためのメモとして使ってください。
| モヤモヤ | 相談用の言葉 | 就労アトラスで読む記事 |
|---|---|---|
| 通所できているから元気だと思われる | 通所後の疲労や翌日の反動も含めて作業量を相談したい | 在宅・通所と配慮の研究ガイド |
| 在宅の人ばかりPC作業に見える | 在宅/通所ではなく、希望作業と訓練目標で配分を確認したい | ハイブリッド勤務と障害者雇用の整理 |
| トイレが不安で一般就労が怖い | トイレに行きやすい座席・フロア・休憩の取り方を確認したい | IBS・トイレ不安と職場配慮 |
| 支援員に言うほどではない気がする | 不満ではなく、今後の作業目標として相談したい | 困りごとから配慮事項を伝える整理 |
| 短時間勤務に進みたいけど支援を失うのが怖い | 移行後に残したい支援と、確認したい配慮を先に整理したい | 短時間勤務へ進む前の整理 |
| 障害者雇用率2.7%と聞くと急かされる | 求人を見る前に、通勤・体調・配慮事項・支援の残し方をメモにしたい | 障害者雇用率2.7%の準備ガイド |
| A型から障害者雇用を考えたいと言いづらい | 今の居場所を否定したいのではなく、将来の選択肢を小さく相談したい | A型から障害者雇用へのロードマップ |
見学・相談で聞くなら、こういう問いにする
『在宅の人だけずるいですか』ではなく、『希望作業や訓練目標は、どのタイミングで相談できますか』と聞く。
『通所が無理です』ではなく、『通所後に生活が止まりやすいので、休憩、作業量、在宅日の使い方を相談できますか』と聞く。
『PC作業だけしたいです』ではなく、『一般就労や次の仕事につなげるために、PC作業へ触れる機会をどう増やせますか』と聞く。
見学に来る人を見る側の話としては、見学に来る人の顔を、通所の朝に思い出すにも書きました。
強く言えない日でも、問いの形にすると少しだけ持っていきやすい。責める言葉ではなく、確認する言葉にするだけで、相談の入口は少し変わります。
それでも言葉にしづらいとき
言葉にすれば全部うまくいく、とは言えません。相談してもすぐには変わらないことがあるし、事業所の体制で難しいこともあると思います。
それでも、何に引っかかっているのかを自分で見失わないことには意味があります。通所がしんどい。在宅がうらやましい。作業配分が気になる。一般就労が怖い。そういう気持ちは、制度の前にまず生活の中にあります。
このサイトでは、その気持ちを急いで正解に変えません。必要になったときだけ、就労アトラスの研究や制度の整理へ進めばいいと思います。まずは、言いづらい本音を相談メモに近づけるところからで十分です。
新しい制度の名前を聞いたときの受け取り方については、就労選択支援という言葉に、少し身構える話にも書きました。