「原則通所」。四文字の隣に、「例外」という二文字が静かに置かれていた。

何が変わるのか、最小限だけ

調べた範囲では、こういうことらしい。厚生労働省のガイドラインで、就労継続支援では利用者の状態や訓練の進捗を直接確認しながら支援する必要がある、と改めて示された。だから自治体ごとに、在宅利用の基準を設ける動きが出ている。指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドラインという一次資料がある。

たとえば東大阪市のページでは、申立て用紙、事業所が記入する支援効果のチェックシート、月次の実績報告まで決められていた。東大阪市の在宅利用における支給決定の取扱い。細かい条件は自治体によって違うから、ここで正確な整理はしない。制度の判断は、市区町村の窓口と相談支援専門員に確認してほしい。

ここで書きたいのは、書類の話ではなくて、このニュースを受け取ったときの気持ちの方だ。

「生産活動として適さない可能性がある活動」という行

自治体のページに、こんな一行があった。eスポーツや、植物の水やりを1日数回行うだけの活動、卓球教室や麻雀教室での手伝いに相当するような活動は、公費による就労支援の生産活動として適さない可能性がある、と。

具体例を挙げられるほど、現場は見られているのだと思う。同時に、その行を読んで小さく縮こまった人もいるんじゃないだろうか。「自分の在宅の時間は、大丈夫なんだろうか」と。

在宅にしたい理由は、通所が嫌いだからだけではないに書いた通り、在宅を選ぶ理由には、回復まで含めた生活を守りたいという本当の事情がある。活動の中身が問われるのは構わない。ただ、問われる側の揺れも、どこかに置いておいていいと思う。

支援効果は、書類に映らない部分もある

チェックシートで効果を確認する、という仕組み自体は、悪くないと思う。曖昧なまま続けていたものに枠線が引かれる。それは制度としての誠実さだ。

ただ、対面なら職員さんの目に入る小さな変化——朝の挨拶ができるようになった、休憩室で一人で座れる時間が増えた——そういうものは、在宅では書類に乗りにくい。在宅は楽なのか、それとも孤立しやすいのかに書いた孤立の話も、書式のマス目には入りにくい。

効果の測り方と、効果そのものは、別の話なのだと思う。この二つを混ぜないことが、今回いちばん大事な気がする。

今の在宅利用はどうなるのか

いま在宅で利用している人がいちばん気にするのは、そこだと思う。自分の利用は更新時にどう扱われるのか。基準を満たせないと言われたら、通所に切り替えるしかないのか。

答えは自治体と事業所によって違うから、ここでは出せない。出せない代わりに、揺れだけ書いておく。急に通えと言われて通れるなら最初から通っている。通所が難しいから在宅なのに、その事情を説明する義務がこちらに来たら、合理的配慮をお願いする前に、困りごとを言葉にするの整理が役に立つかもしれない。困りごと、場面、影響、試せる調整。順番に書き出すと、窓口での会話が少し形になる。

通所が難しい程度の問題は、人によって全然違う。それを一つの基準で線引きするのは、制度としては仕方がないのかもしれない。仕方がないと分かっていても、線の引き方を見ていると息を止める日がある。

対面原則と、ここに置いてきた在宅の本音

このサイトは、在宅について何度も書いてきた。居心地の問題も、在宅が居心地よすぎると、通所したくなくなるのではも、中間地点を探す視点も、在宅と通所のあいだに、中間地点はないのかにまとめてある。

対面原則が強まる流れの中で読み返すと、あの文章たちは少しだけ色が変わる。「どちらにも良いところがある」という中立な比較から、「これからは通所できる人が通所する世界になる」という前提の話へ。制度の風向きは、文章の読まれ方まで変える。

それでも、通所できない事情で働く場所を失くすことがあっていいとは思わない。例外のための手続きが厳密になるのは構わない。厳密であることと、存在しなくなることは、別であってほしい。

同じニュースを受け取った人へ

この変更は、在宅を使っている本人にとって、生活の設計に関わる話だと思う。まずは、自分の自治体のページを見ること。次に、相談支援専門員や事業所に「自分の場合はどうなるのか」を聞くこと。その二歩が、夜ぐるぐる考えるより先に進む近道だと思う。

制度の細かい整理は就労アトラスのような場所にも任せられるけれど、在宅と通所のはざまで揺れている人の声は、まだ多くはない。通所できている人ほど、在宅にしたいと言いづらいに書いた通り、通えている人が在宅の話をするのは、どこか申し訳ない感じがするからだ。

だからこのページは、ニュースを受け取った側の感想として、ここに置いておく。制度が動いている間、揺れている人の居場所が減らないように。

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