配慮をお願いする前に、自分が何に困っているのかを責めずに言葉にする時間があっていい。

診断名だけでは伝わらないことがある

診断名は大事な情報だけれど、それだけで日々の困りごとが全部伝わるわけではない。同じ診断名でも、困る場面は人によって違う。

だから、何がつらいのか、どんな場面で起きるのか、作業にどう影響するのかを言葉にする必要がある。これは自分を証明するためではなく、相手に具体的に伝えるための準備だと思う。

診断名より、困りごと。困りごとより、場面。場面より、試せる調整。そう分けると、少しだけ話しやすくなる。

困りごと、影響、代替案に分ける

たとえば「通所がしんどい」だけでは、相手も何を変えればいいか分かりにくい。移動後の疲れが強い。午前中の人の多さで集中が切れる。帰宅後に生活が止まり、翌日にも残る。そう分けると少し具体的になる。

次に、それが作業へどう影響しているかを見る。作業開始が遅れる。ミスが増える。休憩しても戻りにくい。欠席が増える。求人を見る前のメモなら、トイレに行きやすいか、会議が多いか、昼食を一人で取れるか、電話対応があるか、通勤時間に耐えられるか、欠勤後に戻りやすいか、という粒度でもいい。

最後に、試せそうな代替案を考える。在宅日を一部作る、席を変える、休憩をずらす、指示をメモで受ける、作業量を調整する。通るかどうかは別として、相談の材料にはなる。

求人を見る前のメモにしておく

障害者雇用率が上がると聞くと、求人を見るべきなのかもしれない、と急に背中を押される感じがある。でも、求人票を開く前に、自分の困りごとをメモにしておいてもいいと思う。

たとえば『電話がある職場は難しい』だけではなく、『急な電話で作業が止まりやすい。チャットや担当時間を決める形なら試せるかもしれない』と書く。『トイレが不安』なら、『席から近いか、休憩以外でも行ける空気か、欠席扱いに近い見られ方をしないか』まで分ける。

制度としての合理的配慮の整理は、就労アトラスの困りごとから配慮事項を伝える整理へ渡します。ここでは、その前の、まだ文章になりきらない不安を拾っておきます。

配慮は、必ず通るお願いではない

配慮をお願いすれば必ず通る、とは言えない。事業所の体制、作業内容、制度上の扱い、本人の状態によって変わる。

だから、期待しすぎると傷つくこともある。勇気を出して言ったのに、すぐには変わらないこともあると思う。

それでも、困りごとを言葉にすることには意味がある。相手の返事とは別に、自分が何に困っていたのかを自分で見失わずに済む。

もう一つ、知っておいて損はない事実がある。雇用の分野では、障害者雇用促進法によって、事業主には差別の禁止と合理的配慮の提供が義務づけられている(厚生労働省の解説ページ)。つまり配慮は、誰かの善意を頼るお願いではなく、制度上、事業主側に対話が義務になっている行為だ。過重な負担でない範囲で、という条件はあるけれど。「言い出しづらいお願い」から「確認できる制度上の対話」へ。言葉を作るとき、この違いは背中を押してくれる。

言葉にする前後の揺れについては、相談するほどではないけど、ずっと残る作業所の違和感から支援員さんに相談したあとが、いちばん気まずいへ続く一連の話も、隣に置いておきました。

相談先をひとつにしない

事業所だけに言うのが怖いなら、相談支援専門員や主治医、自治体の窓口など、別の相談先を挟む方法もあるかもしれない。

どこに相談するのがよいかは人によって違う。制度の正確な判断は、公式情報や専門の相談先で確認した方がいい。

ここでできるのは、お願いの正解を出すことではなく、お願いする前の言葉を一緒に小さくすることだと思う。

言葉にした後の気まずさについては、支援員さんに相談したあとが、いちばん気まずいに分けて書きました。距離感を探しながら通所を続ける話は、作業所の人間関係で、距離感に疲れる日があるにもあります。

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