応援は、たいてい優しい。でも優しさには、返事が必要になることがある。

断る言葉だけが、辞書にない

進みたいと言う言葉は持っている。怖いという言葉も。A型から障害者雇用を考えたい、と言うのが怖いに書いた通り、切り出す方の語彙は少しだけ揃えてきた。

ないのは、「今はここにいたいです」という、前向きに見えない断り方だ。「やる気がない」と取られそうな言葉しか見つからなくて、結局、「考えます」で濁す。

考えます、を三回使うと、考える時間ではなく答えの延命に聞こえ始める。自分でも分かっているのに、他の言い方が見つからない。

「いい利用者」という役割

真面目に通って、作業をして、相談には素直に耳を傾ける。そんな「いい利用者」でい続けると、期待は自然と膨らむのだと思う。それは悪いことではないはずなのに。

期待に応えられない自分が、少しずつ裏切り者のように感じられてくる。応援してくれている人に対してまで、嘘をつくような気持ちになる日がある。

でも本当は、ペースが合わないだけで、誰も裏切っていないのだと思う。思えるようになるのに、まだ時間がかかりそう。

勧められる話と、進みたい話は別の話

面白いことに、自分から進みたいと思っている人にとっても、この「勧められる」瞬間は厄介だ。障害者雇用率が上がっても、働く怖さが消えるわけではないに書いた通り、追い風はプレッシャーとして届くことがある。

自分のタイミングで始めた話と、誰かに背中を押された話では、同じ一歩の重さがちがう。

だから私は、勧められた話には「考えます」、自分の話には「少し調べてみました」と、言葉を分けて使うことにしている。小さな区別だけれど、主導権のありかだけは、そこに残しておきたかった。

ペースを守る言葉を、ひとつ持っておく

断固として拒否する必要はない。ただ、「今の作業をもう少し続けて、体調の波を確認してから考えたいです」みたいに、続ける理由を前向きな形で持っておくと、会話が止まらない。

就労選択支援という言葉に、少し身構える話にも書いた「見直したい」と同じで、制度も現場も、実は本人のペースの言葉を受け取る準備を進めている。

受け取る側の準備が追いつく前に急かされたら、それはまだ相談ではない。雑談として流す権利も、私たちにはあると思う。

同じように頷いている人へ

優しく励まされて、優しく返事をして、家に帰ってから苦しくなる人がいるなら、その苦しさは感謝できない自分が悪いんじゃない。

応援に応える義務と、自分の生活を守る権利は、別の口座にある。混ぜないでいい。

「考えます」で濁した日も、ここには記録しておく。いつか、自分の言葉で答えられる日のための練習だと、思うことにする。

なお、この「福祉にいる人をどう一般就労へつなぐか」という問いは、今まさに国レベルでも議論されている。令和8年の夏からは、雇用と福祉の役割分担を見直す横断検討会が厚生労働省で開かれていて、基本的考え方が詰められている最中だ(障害者就労に係る雇用福祉横断検討会)。あなたが受け取った「勧め」も、その大きな流れの一滴かもしれない。だからこそ、断る言葉と進む言葉、両方を持っておく価値がある。

短時間勤務という形そのものを制度面から読みたいときは、就労アトラスの短時間勤務・障害者雇用に整理があります。「進むか残るか」の外側にある選択肢です。

一般就労支援プレッシャーA型事業所B型事業所モヤモヤ