通所先で話せることと、帰宅後の連絡先まで渡したいことは、同じではない。
断るために、嘘や約束を足さなくていい
事業所の決まりを確認していないのに、「禁止されているから」と理由にすると、あとで説明を重ねる負担が残ることがある。「連絡先はお渡ししていません。ここで会ったときに話せたらうれしいです」のように、自分の希望を伝える言い方もある。
「今は無理だけど、いつかなら」と、後で交換する約束を付け足す必要もない。診断名や家庭の事情を並べて、相手に納得してもらうことを目標にしなくていい。
相手の好意と、自分の希望を分ける
連絡先を聞く人に、悪意があるとは限らない。作業所以外でも話したい、仲良くなりたいという気持ちから声をかける人もいる。友達をつくりたい人が交換を選ぶのも、その人の自然な希望だ。
相手を嫌いではないからこそ、断る言葉が出てこないこともある。作業所で話せてうれしかった気持ちまで、取り消してしまいそうで。帰宅後はひとりでいたい。それだけの希望に、冷たい人だと思われる怖さがついてくる。
交換した後も、返信が生活に入り込むことがある
一度交換すると、帰宅後も通知や既読、返事を送るタイミングが気にかかることがある。画面を閉じても、次に作業所で会うときのことが頭に残る。休んでいる時間が、返事をしていない時間のように感じられてくる。作業所では話せていても、連絡のペースまで合わせられるとは限らない。
必要なら「帰宅後は休む時間にしたいので、すぐには返信できません。通所に必要な連絡は事業所の方法を確認します」と伝えることもできる。伝えたあとも、相手の反応や次に会うときのことが気になる日はあると思う。それでも、自分が返事をできるペースを言葉にしておくことはできる。
個人の連絡と、正式な通所連絡を分けて確認する
欠席や遅刻、作業変更など、事業所への連絡には指定の方法や担当者があるかもしれない。個人LINEと正式な通所連絡を分け、欠席時や緊急時の連絡先を職員に確認しておくと、必要な連絡を迷いにくくなる。
運営法人自身が紹介する例では、スマイルラボは利用者同士の連絡先交換を禁止する運用を説明し、ReverVワークスは一律禁止ではない運用を紹介している。どちらも各事業所の方針の例で、全国共通のルールや安全性を示すものではない。本人が交換したいかどうかと、通っている場所の運用は分けて確かめてよいと思う。
繰り返し求められるときは、場面ごとに相談する
断った後も何度も求められる、断ることに怖さがある、やりとりが通所を続けることに影響しそう。そんなときは、職員や相談支援の担当者に困る場面と希望を相談できる。「作業所では今まで通り話したいけれど、個人の連絡先は渡したくない」「欠席や作業変更の正式な連絡方法を確認したい」と、関係の希望と必要な連絡を分けて伝えてもいい。
うまく説明できるか不安なら、いつ、何を求められ、どう困ったかを短いメモにしておく方法もある。相談のために個人名や画面画像を他の利用者へ見せたり、公開したりする必要はない。相談しやすい職員にメモを見せ、困る場面を話すところからでもよいと思う。
相談後に残る気まずさをどう扱うかは、支援員さんに相談したあとが、いちばん気まずいに書いてある。困る場面と希望を分けて言葉にするなら、合理的配慮をお願いする前に、困りごとを言葉にするも手がかりになる。
距離を決めても、話したい気持ちは残せる
仲良くしたい気持ちと、どこまで連絡を続けるかは別だ。通所中の距離感については、作業所の人間関係で、距離感に疲れる日があるにも書いた。帰宅後はひとりで休みたい、今日は返事を保留にしたい。望む距離は、相手を大切に思うことと並んでいてもいいのだと思う。
交換しないと決めても、作業所での会話や距離は考え続けられる。返事を急がない余白と、帰宅後に休む時間が、それぞれの暮らしに残りますように。